自律訓練法に挑む⑤

第4公式(呼吸調整練習)に引き続き、第5公式(腹部温感練習)の体験を紹介したい。

これも単純に心の中で「お腹が温かい」と繰り返し念ずるだけなのだが、中々はっきりとした感覚が掴めず苦労した。

まず「お腹」と言っても、「お腹」のどの部分に意識をかけたらよいのかだ。難しい言葉であるがまず「太陽神経叢(たいようしんけいそう)」という場所があってそこに意識を向けることからがスタートになる。

太陽神経叢の場所は「みぞおち」と「おへそ」のちょうど中間あたりの位置で、そこから胃、腸、肝臓、腎臓など多くの器官に神経がのびていて、脳からでている自律神経の前線基地であり、第2の脳とも言われるそうだ。

始めのうちは位置がわかりにくい為、太陽神経叢の場所に手を添えてそこに意識をかけるようにやれば良いらしく、また実際にそのように練習を進めていった。

(※この練習をする上で糖尿病の人は注意が必要とのこと)

 

気持ちが落ち着いているの「背景公式」から始め、「重感」→「温感」→「呼吸調整」→「腹部温感」の順序で進めていくのだが、ハッキリとした温かい感覚として意識できたのに約3か月ぐらいかかったと記憶している。

始めはただお腹がムズムズするぐらいだったが、次第に温かいと感じる頻度が増してきた。

腹部温感練習が上手くいくと、心身に顕著にいい効果が表れる。

まず自律神経失調症の為、常に胃腸が弱い状態で朝一番は決まって下痢状態だったが、腹部の温かみを感じられるようになって、通常の便の状態に改善した。そして、緊張性の頭痛も練習後は緩和されたのがはっきりとわかった。

まさに自律神経の前線基地で、ここが安定すれば身体のいろんな不調が改善されるんだなと身をもって体験した。

何より驚いたのは、精神的な更なる落ち着きが得られたことだった、人前で話すときも以前より比べて堂々としてられる、あがり症が明らかに改善された。

身体の中にどっかりたした芯が通ったように落ち着きを常に保ってられる。

この時からすでに向精神薬の量は、週に1日~2日の割合でかなり減っていった。

将来的にも薬を飲まなくてもやっていけると自信と希望が大きくなってきた。

先生にも診察時、この経過を話をして喜んでくれた。

 

そしてそれからも自律訓練法に全幅の信頼をおいて練習を続けていたのだが、神経症との闘いは甘くはなかった。

軽度な神経症、自律神経失調症の類なら、この健康法で改善は期待できるかもしれない、そして皆さんにもお勧めする。

しかし自分が対峙している神経症はかなり根深いものであり、かなりの強敵だった・・・

太陽神経叢をも狂わせる、身体と意識の深部に何かとてつもないものがあるような気がした・・・

 

次回に続く