自律訓練法に挑む①

認知療法により、疲れない考え方を身に付けた上で薬を徐々に減らしていった。

I先生にも診察の度、日常生活の中でどういう気付きを得てどう考えるようになったか報告もし、歪んだ思考があればより良い考え方を教えてもらった。

神経症症状は相変わらず出ていたものの、メンタルは出来るだけ薬に頼らずにしようと減薬に意気込んでいた。

受診から一年近く経ち先生が僕の治療に取り組む姿勢と容態を察知してくれたのか次の段階に進むため新たな療法を紹介してくれた。

自律訓練法」というものだった。
初めて聞いたその治癒法は、1932年にドイツの精神科医シュルツ(Schultz,J.H.)によって創始された自己催眠法であり、ストレス緩和、心身症、神経症などに効果があるということだ。

ただし鬱病には効果は期待出来ないらしく、僕の病状を神経症及び自律神経失調症と診断してのことだった。

自己催眠法と聞いて本当に効果があるのだろうか、その前に自己催眠すら怪しく思えて仕方なかったが、神経症で人生どん底にいた為そんなことも言ってられなかった。

自律訓練法のやり方を以下にまとめたので参考にしてほしい。

自己暗示に公式があり、第1公式~第6公式の合計7つの公式からなる。

背景公式
気持ちがとても落ち着いている。
第1公式
手足が重い。
第2公式
手足が暖かい。
第3公式
心臓が静かに打っている。
第4公式
呼吸が楽になっている。
第5公式
お腹が暖かい。
第6公式
額が涼しい。

これらの公式を順番で繰り返し唱え、自己催眠状態になっていく。

自律訓練法では、特有の生理的変化や意識状態(めまい、脱力感など)が生じることもあるため訓練の後は消去動作を行うことが推奨されている。


消去動作 - 下記の運動により特有の生理的変化や意識状態が取り消される。



1 両手の開閉運動
2 両肘の屈伸運動
3 大きく背のび
4 深呼吸


目的に応じて、一部の公式を省いたり、別の公式にするなどした変法も多い。

なお、数学などでもないのに「公式」という言葉を使うのは奇異に聞こえるが、自律訓練法では「公式」というのが普通である。

自律訓練法によると自分で自分を催眠状態に誘導できるらしく、その催眠状態そのものが心身の疲れを癒してくれそこへ公式による暗示をかけさらに心身がリラクゼーションの世界へ入っていく。

神経症、心身症は自律神経のバランスの乱れから引きおかされるとも言われ、訓練によりそのバランスが調い種々の病的な症状に効果があるという。


I先生いわく効果は確かにあるのだが、問題は訓練を継続出来るかどうかで、最初はみんな意気込んで始めるが続かずに挫折する人が多いらしい。
僕のような重い症状の場合は最低でも1年間続けるべきで、1日5分でも良いからできれば死ぬまでやってほしいと言われた。

先生自身も既に20年間続けているみたいで、ストレスとは無縁の生活だと言っていた。

その話を聞き自分もストレスフリーの身になりたいと思い訓練に挑戦してみようと心に決めた。

次回に続く