自分の中に哲学をもて!

哲学が神経症克服にどのような効果があるのか甚だ疑問なのだが、自分のような対人関係で困惑し自分の容姿に一喜一憂している人間にとっては、どうでもよい情報に振り回されない、要は情報の善し悪しを判別できる内面が重要だということだ。


それには物事の根本原理、真理を追究する哲学的思考を体得しなければならないらしい、そして、その為に哲学書を読む事を薦められた。

客観的に人生、そして、自分自身を見つめることにより考え方が成熟し、自分の容姿について見方が変わるかもしれない、同時に飲み過ぎている薬を徐々に減らしていくよう方針が固まった。

哲学なんてあまり馴染みのなかった僕が、とりあえず、本屋で哲学書を探し読む事になる。

人生初の哲学書だが、手に取った本は著者ヨースタイン・ゴルデルの「ソフィーの世界」だ、初めての人でも読みやすい哲学の入門書だが、ページ数は多くかなり分厚い。

古代ギリシャの哲学者ソクラテスから始まり、デカルト、カント、ヘーゲルニーチェなど西洋の代表的な哲学者の考えを物語形式で分かりやすく書かれており、結構な量であったが最後まで一気に読んでしまった。

哲学者に皆共通していることは、「人生とは何か?」、「人間とは何か、本当の自分とは?」という根本的な問いかけに思索を巡らしておりそこに重要さを見出だしていることだった。

世の中にはいろいろな情報が溢れている、テレビをつければ、利便性追究の製品コマーシャルで視聴者の物欲を掻き立て、ドラマでは俳優、女優がスマートなファッション、立ち振舞いをし、美への追究を増進させる。

メディアが流す情報は多種多様でそれぞれ独自の説得でうったえかけているが、何が本当に重要なのか分かりにくい。

僕もそういうメディアの広告に振り回され、自分の見た目、他人からどう見られてるか、そんなことばかり考え、気苦労し、精神的な不調に陥り、それが肉体的不調にもリンクしてるのでは?
と自己分析をしてみた。

そして、僕が幸せになるにはもっと人生の根本的な部分を見つめることに思考を集中させれば、種々の悩みなどどうでも良くなる、人生には見た目、人の目なんかよりもっと重要なことがある、早速、診察用のノートに書いた。

I先生にノートを見せると、僕のその気付きを誉めてくれた。
「その考え方、気付きを大切にして、徐々に減薬をしていくように、ただし減薬はくれぐれも慎重に進めなければなりませんよ、自分の判断での急激な断薬は絶対に駄目ですよ」と釘もさされた。

さて頭の上での認知の修正をした訳だか、なかなか症状は良くならない、しかし、薬依存の体質から脱却すべく、少しづつ減薬を実行し一年間で薬の量を半分にまで減らすことが出来た。

次回に続く