ある心療内科医との出会い

小さな町の病院でこれまでの心療内科医とは何かが違うI先生と出会うことになる。

かなり高齢だが明るく朗らかで、筋の通ったことをズバリと言うその先生は、過去に診察してもらった事務的対応しかしない医師ではなく、医師としての信念を持った方だった。

自分が不眠や不安感や対人緊張やら醜形恐怖などで苦しんでいて、薬を飲んでる話をしたら、「君は薬を一生飲み続けるつもりですか?」続けて「すぐには無理だろうが将来的には薬を飲まずに治すようにしなければなりませんよ」と言ってくれた。
今までの医師は簡単に「分かりました、じゃあ薬出しときますね」と言い、薬を安易に出したのだが、I先生は薬を出し惜しみ、薬ではない方法で治療するとのことだ。

だからといって薬が完全悪というのではなく、あくまで治療を助けるための補助的なものにすぎないというスタンスだった。


そして、「今の君の苦しみは君の考え方の癖からくるかもしれない」と言い、まず僕の思考のクセを読み取るために、日々思ったことをノートにまとめ、そのノートを先生に見せ、僕のおかしな思考を文面から発見し、I先生が思考の修正を指導してくれるとのことだった。

いわゆる認知療法というものだった、そして状態が良くなったら次の治療法に進むということだ。

一筋の希望の光が見えてきた。

治療と言ったら薬としか頭になかった僕にとって、I先生との出会いにより薬物信仰の固定観念が崩れ落ちた。

次回に続く